沈香・伽羅には同じ物でもランクや等級があり、値段も香りも品質も大きく異なる。そのランクや等級はどのような基準で決まられるのか?それは沈香の断面や色・密度・木質などを観察すれば、香木の品質高低が分かるようになる。品質をある程度それらを知ることで、良い香気を放つ香木とも出会うことができる。
沈香の品質の調べ方
沈香の割で見てみる

写真解説
- 下の段は色が薄く・樹脂が荒く・密度が低い・ただの木に見える。
- 上の段は色が濃く・樹脂は細かく入っている。
- 触ると重く現物を見るとただの木には見えない
詳細解説
- 1 色の濃い部分と薄い部分が混じりっている(この写真の場合は肉眼ではほとんどわからない)
- 2 この個体は樹脂の入りは良いが、厚みがあり軽く、実が詰まっていない。
- この写真で使っている割は、、、割沈香としては非常に高品質な物を利用している。Lowclassと書いてはあるが、、、市場にある割沈香から見て、、割り方の丁寧さや品質を考えれば写真の木はトップクラスだろう。
- ➡割にする原木の品質によって根本的な香り(品質)は決まる。

PR 今はネット通販でポチればこのクラスの沈香の割が購入できる。投稿時点で5g7000円ほど・・・割を作る手間や香りを考えれば、、正直なところ破格だと思うのでなるべく早めの購入をお勧めする。
断面を見れば品質は一目瞭然!

写真の沈香は飾り用のタニ沈香である、断面は白く、軽い
写真のような樹脂の浅い沈水香木は99%低品質であると言えるが、意外にも香りは良い
- このように樹脂の浅い沈香は典型的な低品質沈香である、しかし私としては珍しく樹脂の浅いこの個体を購入したのは、香りに深味があり良かったからである。
- 低品質の沈香でも良い香りのする個体はある。
- この程度の品質なら記事投稿時の相場は1g100~300円 下の刻み沈香はこの個体と似た香り 送料込み15g2200円


こちらの方が近いかな?全く同じでないので難しい。。。
断面からの判断法
香木の断面を観察することは、極めて重要であり、その香木の樹脂化を容易に確認できる
- 香木は断面の黒さでおおよそ沈香(沈水香木の品質)一目瞭然!で区別できる。
- しかし・・・この前提で偽物は作られることが多い。

この手の樹脂の密度が高く、断面の黒い沈香は高品質
- 1や3のように黒い部分と白い部分が入り組んだ沈香は黒い部分が多ければ多いほど高品質であると一般的にはされる。
- 2もやや白い部分が混じっている、、更に良い物は極めて稀だが完全に真っ黒
- 基本的に沈香の断面には塗りつぶしたかのような真っ黒になる物は珍しい。
- 沈香である以上は何かと茶色や白などの色が混じる。
- 断面が完全な黒い沈香を目にしたら基本的に贋作や模造品を疑うほうが良い。
- ➡白や茶色の部分が混じらない沈香は沈香の中でも非常に稀な高品質沈香である。
写真解説
1はベトナム沈香 2はインドネシア沈香カリマンタン沈香(タニ沈香)
- 1は歴史的な価値のあるベトナム沈香で香気は軽いが甘さが独特で品質は高いと思う。
- 2は最高品質とも言って良いだろう、インドネシア沈香(カリマンタン沈香)
- 2の香りは銀葉にのせてでも使える香りが出ており、香りもたいへん良い。(トップクラス)
- 2残念ながらこのクラスの沈香はインドネシア沈香でも良質すぎて刻みとなることはほとんど無い。
沈香の切断と断面からに情報
切断する理由は、、、ほかにも
- 単純に切り分ける(加工するだけ)
- 切断すると中から異物(虫の死骸・鉛の針金など)
- 場合により使いやすくなる
- 香木を切断してもらう際には品質の高い香木は、切断時の匂いもとても良く、そして断面が黒いか、銀河系のように美しい。
香木の切断は香木の品質を確かめるうえで非常に重要な作業である。
- 香木を切断するという作業は神聖でかつ特別な技能が必要であり、金・白金より遥かに高価な香木を扱う以上、ロスは最低限に抑える必要がある。機械化が難しい職人技とも言える。
黒さ=高品質ではあるが、香りの良さとは必ずしも限らない。
➡断面が黒い=高品質の証拠の一つであり、断面が白くとも高品質の場合もある。
➡断面が白くとも最高品質の沈香は断面が黒いより更に高品質となる場合がある。
➡沈香の断面は品質特定の手がかりの一つでしかなく、断面だけで香木のことはわからない。
基準の違い
店ごとに香木の分け方は全く基準が異なるため、収集の初期は混乱する場合があるのだが、それが悪いということは全くない。
- 香木にしろ、お香の匂いの格が各社同じなら、店の信用は成り立たない。
- 香木の用語や基準等が店ごとに違うことが、現在における店の信用であり、それぞれ違う事に価値がある。それらが同じならば顧客からの信用や自社(伝統的・継承的)秘伝や(他社との違い・ほかのお店との差別)は崩壊していき、線香や練香など香木を原料とする各種のお香も、消費者にとってはつまらない物となってしまうだろう。
- 沈香や伽羅のランク 香木ランクが有ることは当たり前であるが、伽羅にランクが有ることを知らない人は多い。
- 底辺の沈香伽羅と最高位のそれらでは、価格の差は大きくなり、香りの質が大きく変化します。
この記事ではどこの店でも愛好家に通じそうな基準で書いている。
香木の基準はさまざまであり、良品と低質品の区別やその基準など、国や地域そして店舗・使用者の好みでかなり左右される、伽羅関連の各種の判定方法・厳格すぎる木所の基準・先生や流派による木所における基準の差異・インドネシア沈香とベトナム沈香の判定・古渡沈香(伽羅)における渡来時期の感覚・香りの良さとは関係のない六国の区別など香木の基準は極めて複雑であり、絶対基準は明確でないものの〇〇は知っているだろう、この〇〇〇基準は守っているだろうという愛好家と買い手の前提で成り立っていると思われる。
https://seonyan.com/kouboku/kouboku-kyara-agarwood/nisemono/ このブログ記事(より香木の贋作を見極め)より
ランク等級の品質の基準となる指標
香りの良さ
- 香味が安定しているか? 特定の味が出ているか? 持続時間や変動具合は?
木質
- 樹脂の濃さ・油の質・軟度(柔らかさ)・樹脂の細かさ・密度
香木の価値観における一般論として
- 色が濃いほうが品質は高い
- 樹脂は細かいほうが品質は高い
- 密度が高い(水に沈む物が品質が高い)
- 軟度が低い 柔らかい物のほうが品質は高い
しかし・・・・伽羅や一部の高品質な沈香の場合は色が薄くても・品質は極めて高い。
- 色が濃いほうが基本的には香りは良いが、、色が薄い香木でも非常に良い物も多々ある。
- 品質の高さ=香りの良さとは必ずしも限らない
- 一般論であり、個体差があるので例外の連続は続く
産地・品種
- 香木の産地や品種 ・木所(品種・種類)
形状
- 一般的には輪切り型や流線形など形が安定しているほうが評価は高い
- 馬蹄や笹型など頂香しにくい形状や数珠玉など加工に向かない場合は形状的な評価は低い
価格
- 高品質であるとされた物(評価が高い物)ほど高価

種類ごとの品質の分けかた
沈香
- 基本的に上の項に同じ
水に沈むものや、形状が香の世界から見て良い物そして最近は資源の減少から、一個体のサイズの大きい物は単価がさらに高価になる傾向があります。
沈香のランク分けにはSXSSSAとか松印竹印とか1号2号とか特上極上といった符号がつけられその店の価値観に応じて販売されている。
- それ以外にも沈梗・本泥・真南蛮・小倉山とかの愛称や六国 が存在する。
- これらの沈香のランク分けはあらかじめ現地で仕分けされたり 中間業者で仕分けされたり、入国後に独自に仕分けされたりする。
最近は・・・・
メーカー表記の品質表記は香木自体の個体差などがあり、香木資源の国際的需要の高さから、在庫を切らしたら無理やり上位に当てはめる場合が多くなっていると考えられ、当然ながら10年前や数年前と比べると品質が落ちたとか信用性が無いように感じると思わる。
- g単価や見た目で考えると失敗しにくいと思われる。
- それでもダメなら 品質の絶対的信頼性を必要としている場合は、ブレンドで安定化している。刻みを買うほうが良いでだろう。
六国
六国沈香とは、香道向けの沈香のことであり、基本的には沈香(伽羅)の特に良い物の中で香道で用いる特殊や一定需要のある香りが出る沈水香木であると言える。
- 通常の沈香の最高ランク品と思えば良いとも言えるが、その六国でも大きなランクの差はある。
- 正銘・御家元銘とは、その中から厳選された、一定のサイズの物を御家元に提出して木所・味・位が付与された香木のこと。
- 基本的に家元の銘があればどれもそれなりの品質を誇る香木であることには間違いない。
- しかし、家元に半分を献上するなどの習慣があり、事実上サイズの大きい沈香は、更に単価にプレミアム価格がつく現状において、銘を貰う手間と販売価格を加味すれば、正銘が今後は増えることはあまりなさそうだ。
- 基本的に一定の根拠を基にに店が独自に六国を選別して売られているため、実際の香道で用いない香りの出る香木や流派による好みの問題があり、その木所で使われるとは限らない。
- ➡最終的には使用者の判断(先生の判断)となり、香道の流派や好みにより利用する香木が大きく異なるため、最終的には使用者(流派先生)の判断となります。
関連記事
伽羅の品質については以下の記事に移動しました。
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最後に・・・・香木は最後は現物を見ること・・・そして経験からしか品質を見極めたりすることは困難である。香木の上知識だけで香木を扱えば地獄が待っているだろう。見た目が極上でも香りが飛んでいたり、状態が悪ければ、香木としての価値はとても低い。