武夷岩茶 白鶏冠
白鶏冠(読み方 はっけいかん)は武夷岩茶の品種のひとつ、茶葉が白っぽく、かつ鶏のトサカ(鶏冠)のようにクルっとした見た目に加え、白っぽい茶葉で鶏冠のようだと、白鶏冠の名前がつきました。
岩茶の品種としては珍しく、茶葉を小さいうちに摘み、焙煎を軽く仕上げるのが特徴。
数多くの武夷岩茶のなかでも、アミノ酸の含有量が多く、味が濃く、薬効も高いとされている品種であり、実際に車酔いや風邪のあとの体調不良時に効果を感じて個人的に気に入り、取り扱いを決めた。
伝統的な品種
四大名叢のひとつであり、知名度と歴史のある品種でありながら、岩茶としては茶葉が小さく、栽培面積の割に収穫量が少ない品種、武夷肉桂及び水仙と比べると同面積あたりの収穫量は多くとも70%から30%と少なく希少性が高いため、極めて贋作が広く流通している岩茶でもあります。
偽物の流通が異常に多い
茶葉の特性と小さく茶色い見た目から、見た目のみで真贋の見分けは容易であり、製茶後も本物ならば見た目で鑑別が容易なのも特徴であるため、ひと昔までは偽物が少なく偽造困難と言われていたが、その噂が広まったためにそれを逆手に贋作が非常に多く流通するようになってしまった品種。
多少の知識があれば簡単に見分けられるにも関わらず、割と有名店であっても平気で白鶏冠でない岩茶を白鶏冠として普通に販売している店が多く、流通する偽物があまりに多く、偽物が本物になりつつある驚異的な品種でもある。
なお武夷岩茶の世界では、品種や産地を誤魔化かす、偽造するなどが当り前であり、むしろそのようなことに違和感があるプロのほうが少ないという、事情を抱えた業界であるため、少し知識があれば簡単に見分けられるにもかかわらず、ここまで贋作が本物として流通すしていることには驚きだ。
現地の岩茶マニアならば白鶏冠を見れば、その店のレベルが分かるというほど神経質になる岩茶でもありあます。
白鶏冠の価格や相場
白鶏冠の価格は、武夷岩茶における相場原則である、品種の希少性よりも知名度によるところが、大きいため、最上産区たる三坑両澗産の岩茶としては肉桂や高級老欉水仙ほど高額にはりません。この品種は生産量が少ないことが評価されつつあり、希少品種だからと、安くはならず、風景区産の岩茶としては中から中上程度の価格で取引されます。
なお、肉桂、水仙、大紅袍の三大品種は高額な価格で取引されることから、風景区産岩茶の生産量は肉桂および水仙の二大品種によって産出全量の7割以上という統計があり、それらから作られる大紅袍、北斗などの大紅袍系品種を合わせた三大品種にて風景区産正岩茶の8〜9割程度を占めていると考えられます。
真贋の見極め
実際の茶園の画像を見ても一目瞭然の色合いをしており、製茶後も本物ならば見た目での鑑別が容易なのも特徴である。
本物の特徴
- 本物ならば白鶏冠は岩茶としては、茶葉が比較的小さめ。
- 焙煎は必ず軽から軽めの焙煎
- 茶葉の色合いは、新茶らしい若緑色から熟成品は独特の肌色から茶色っぽい見ためであり、茶底は白味を帯びた緑茶色か、茶色から赤味を帯びた見た目または白っぽい肌色。
- 茶液の色は緑色から淡いオレンジ、肌色のような物が多い。
贋作の特徴
- 重焙煎・焙煎が強く入っている。(仮に白鶏冠であっても品種個性が消滅するためいわくつきである)伝統型焙煎の場合は通常の岩茶ならば、火入れを強くするが、白鶏冠の場合は極めて浅く焙煎する。
- 炭化・重焙煎化すると品種個性が消滅するため鑑定が難しくなるため、品種のごまかしでよく使われる、白鶏冠、鉄羅漢、百瑞香、石乳などの希少伝統品種は、あまりにも風景区内では希少なため、そもそもその品種が100%入っていることは岩茶専門店全体で見ても稀であり、これらは、多くの小売店では通常2−3割その品種が入っていれば本物と考えられ売らてしまう。
- 割と歴史のある専門店でも平気で品種などの偽りをする。
- 武夷山の岩茶バイヤーと話すと中国国内では専門店や茶城で白鶏冠を求めると本物である場合は半分以下から三割程度であるという。なので取り扱いを避ける店舗が多い(日本でも茶葉の写真をみる限り同等水準か?)
- 白鶏冠に関しては風景区産外半岩産や外山産区でも白鶏冠は栽培されており、それらを三坑両澗産や風景区の地名+白鶏冠として販売することは中国の業界では一般的であるため、それらと実際の産品とは味わいは大きく異なるため、中国においては岩茶を扱う専門茶商の半分程度と専門のマニアさんは試飲にて口感及び岩骨花香の強さにて判別している。なお風景区産か半岩かを判別するのは中国茶の試飲判定なかでは簡単な部類になりますが、これらは一般的な感覚ではありません。
悟源澗白鶏冠 2023年産
2023年は雨不足によりさらに収穫量が前年比4割程度も激減してしまい、生産量が写真の茶園からは7kgに満たなかった模様。当店のベストセラーである2020年悟源澗白鶏冠の人気から、事前に予約して青田買いを行いましたので在庫を確保できましたが、天候由来から例年より味が濃く毛茶の時点から味が濃厚だったようですが、代理人から送られてきた動画によると収穫量の激減から農家さんは良すぎて激怒ながら毛茶を出荷した模様、そんな貴重な茶葉ということで大切にしたいと思います。
※無農薬栽培茶園のため、蟲が多く対策のため採茶人はカッパを着用しております、断じて雨のため着用ではございませんのでご安心下さい。
焙煎と味わいの様子
2023年の白鶏冠はフレッシュタイプ仕立てました、岩茶のなかでは異端的に小さい茶葉を好んで収穫しながら焙煎をなるべく行わないという特徴を生かして軽焙煎に仕上げた武夷岩茶、1グラムが6万円を超える香木緑油伽羅のような香りと中華スープのような香りが共存、煎が進むと幽蘭麝香という産地特有の奥深い香りも出現、豊かなアロマが特徴的で味わいも抹茶のような味わいとスープのような美味しさが共存、飲むと身体がポカポカ温まり、余韻も老樹茶らしく強い、当製品は2024年夏と2027年の夏を越えると一段と美味しくなると考えられますが、2020年産(熟成型)との差別化のため新鮮さがある早い状態にて発売いたしました。焙煎具合は軽火と軽中火の中間程度となっております。
店主の感想
アロマとてもユニークな良い香り、岩茶らしいミネラル香に加え、ウリやメロンのような香り、緑油伽羅など木質の柔らかい伽羅香りに加え、野菜ブイヨンや野菜スープを思わせる香り、煎が進むと柑橘類のフルーツや麝香のようなアロマが出てくる、冷めてくると蘭花香も感じられた、口に含むと大きなフルボディであり、舌触りは滑らかさに加え、さらりとした舌触り、直ちに抹茶のような味わいと白鶏冠らしい中華スープや野菜ブイヨンのような料理系の美味しさが、グイグイとそのまま後味となり長持ちする、余韻は肩までと長い。
焙煎と味わいの様子
2023年の白鶏冠は通常よりも浅い、極めて軽い焙煎に仕立てました、一般的には大きな茶葉を収穫する岩茶のなかでは異端的に小さい茶葉を好んで収穫しながら、焙煎をなるべく行わないという品種の特徴を生かして軽焙煎に仕上げた武夷岩茶、1グラムが6万円を超える香木緑油伽羅のような香りと中華スープのような香りが共存、煎が進むと幽蘭麝香という産地特有の奥深い香りも出現、豊かなアロマが特徴的で味わいも抹茶のような味わいとスープのような美味しさが共存、飲むと身体がポカポカ温まり、余韻も老樹茶らしく強い。
こちらの白鶏冠は10年以上もの超長期保存に向く製品のため発売直後でも美味しいですが、本領を発揮するのは2024年6月以降と思われ、2020年産悟源澗白鶏冠(熟成型)のように滑らかさを持ち、味わいが濃厚になる飲み頃は2027年10月以降と考えられます。
価格 5グラム1400円 7.5グラム1980円 50グラム11500円 250グラム45000円
2023年産 販売ページはこちら
悟源澗白鶏冠 2020年産(熟成型)
茶葉は2020年産、武夷山風景区名勝区世界遺産登録区域内産の製品であり、この地区の岩茶は生産量の7割ほど品種が肉桂と水仙となっており、そのほかの品種茶そのものが少なく、希少性が高い、上の写真の畑の製品であり、武夷山名岩産区(正岩核心産区)のなかで最高評価かつ最重要産地三坑両澗のひとつ悟源澗産の白鶏冠。
個人用に購入して、私が当時流行していた流行り病に感染した後、味覚が麻痺気味にも関わらず、この白鶏冠を飲んで際に身体が軽くなり、面白いので旅行などに持っていき、車酔いで吐き気がしている際に飲んでみたら瞬時に回復したため、岩茶は薬効が強いということをはじめて感じたので取り扱いを決めた。
この岩茶は2020−2021年、コロナ禍の影響により、中国国内の茶屋が休業を余儀なくされる中で、取引先であり生産者でもあるバイヤーさんが、武夷山の親戚から入手したもの、あまりの出来の良さ、量の少なさ、珍しい風景区産の白鶏冠であり、雨が少なく茶葉の成長が遅くなるという天候要因から、茶葉は特に小さく、話によれば5−10年に一度できる極上の状態に仕上がった為、売り惜しんでいたそうだ、ここまで希少な岩茶だとは知らずに飲んでいたのが申し訳ない。
名岩産の白鶏冠を探していたが、仕入れができたのは今回が初めてである。2020年の武夷岩茶は総じて出来が良く特年と言えるヴィンテージ。
茶葉は白鶏冠らしい、茶色であり、茶葉自体からも、香りはツンとした良質な岩茶らしい、匂いがしている。アロマは胡椒やクローヴなどスパイスに花梨や金柑など柑橘類、洋梨や熟した果実、陳香とも言いう強い熟成香、岩茶特有のミネラル香、口に含むと小葉型でありながら、三坑両澗級らしいフルボディであり、中華スープと高級岩茶の中間とも表現したくなるような強い美味しさ、味わいは極めて複雑、後味の良さの秀でている、甘みと強いミネラルの味わいが強い。煎が進むと、悟源澗の岩茶の証である、蘭や蓮の花と麝香を連想するアロマ(幽蘭麝香)と甘い味わいに変化していき、悟源澗産の烏龍茶らしさが出てくる。
天候要因から胡椒を連想するトップノートを持ち、香りが強く、味わいは岩茶らしく風味と口感を持ちつつ、アミノ酸含有量が多い品種であるため、熟成香も加わり、どこか野菜やキノコスープのようでもあります。
数えきれないほどの中国茶飲んできたが、前例の無い複雑な味わいであり、印象に残る。
三坑両澗の最高級武夷岩茶たる風格をもちろん持っているが、他のどの岩茶とも違う味わいで面白い。
価格 5グラム 1300円
7.5グラム
50グラム
悟源澗白鶏冠 2019年産
テイスティング
香りは柚子などの柑橘類、乾燥した冬菇椎茸、プーアル陳茶のような陳香を持つ、口に含むと強い美味しさ出汁の味を感じ、口感は岩茶の中でも大きなフルボディであり、味は冬菇椎茸を煮詰めた出汁を連想、高級な武夷岩茶らしい甘さと強い美味しさが口の中で長く残ります、体感(余韻)は岩茶のなかで特に強く、老欉水仙や金賞肉桂に匹敵。煎が進むと、悟源澗の岩茶の証である、蘭や蓮の花と麝香を連想するアロマ(幽蘭麝香)と甘い味わいに変化していき、悟源澗産の烏龍茶らしさが出てくる。
4年間適切に保存されて熟成に成功した製品をさらに軽く焙煎したので、味が強烈に濃く、もはや、出し汁、天候要因から余韻が強く、岩茶の百年老叢老欉水仙などに匹敵、最高級武夷岩茶の中から熟成に成功して稀に現れる味わいを持つオススメ商品。2019年産は1kgほどしかなく数量限定のため補助商品として2020年産の在庫が不足した際に発売予定となっている。
三坑両澗悟源澗のテロワールの良さが出ており、この白鶏冠は素晴らしい
お客様の感想
茶の穂ネットショップより
けyの紅茶日記さま (外部リンク)
(2020年の感想)
(2023年の感想)
詳細情報
- 産地:武夷山風景名勝区(正岩核心産区)悟源澗
- 品種:白鶏冠・単一品種製茶他品種の混入なし
- 製法:世界複合遺産武夷山における武夷岩茶の伝統手工製法(職人による手作り)
- 樹齢:30年以上30-48年平均40年程度 一般仕立て老樹白鶏冠
- 有機情報:無農薬減肥栽培・当店の岩茶はすべて着香や合成香料は絶対不使用
- 春茶:採茶期 5月中旬
5グラム1300円
50グラム11500円
茶の穂 ネットショップの販売ぺージへ
慧苑坑老樹白鶏冠 2024
慧苑坑老樹白鶏冠は武夷山世界遺産登録地域、武夷山風景区名勝区(正岩核心産区)の中心的地区である慧苑坑産の白鶏冠であり、樹齢も40年を超えており、当店の岩茶のなかでもっとも焙煎が軽く、緑茶のような雰囲気も持っており、緑茶や白茶が好みのお客様にも推奨できる製品です。
遅く摘む品種であるため天候の影響を回避
2024年は5月1~6日に武夷山では連続の雷雨となり、この時期に茶摘みを迎える多くの高級武夷岩茶は雨の影響を受けてしまいました。天候に恵まれて出来の良かった昨年度(2023年)と同じ茶葉で比べれば品質の低下が多く見られるヴィンテージとなりました。しかしながら、白鶏冠は武夷岩茶の茶摘みとしては最も収穫時期が遅い品種であるため、5月12日頃の茶摘みとなり、悪天候から3~4日を経過している為、悪天候による影響を回避して仕上がった貴重な清香型花香の高級武夷岩茶です。
店主の感想 2024年9月25日 アロマ、新鮮な洋梨やマスカット、青りんご等を連想するフルーツの香り、口に含むと、まず感じるのは三坑両澗らしいフルボディと滑らかな舌触り、ただちに新鮮なフルーツを連想する甘さが後味となり、そのまま長く残る、香味は新鮮な白ブドウや洋梨系統のフルーツ感が強く感じられる。
飲み頃予想、2024年10月~7年ほど、軽焙煎ながら白鶏冠は過去の製品の状況からも充分に熟成は可能、新茶感を活かすために当製品は特殊な保管をしており、熟成を遅らせる処置を行っておりますが、年数を経過すると悟源澗白鶏冠2023や2020の味わいに接近する可能性が高いため、購入後は早めの消費をお勧めします。
詳細情報
- 産地:武夷山風景名勝区(正岩核心産区)慧苑坑
- 品種:白鶏冠・単一品種製茶他品種の混入なし
- 製法:世界複合遺産武夷山における武夷岩茶の伝統手工製法(職人による手作り)
- 樹齢:40年以上
- 有機情報:栽培者は無農薬減肥栽培・当店の岩茶はすべて着香や合成香料は絶対不使用
- 春茶:採茶期 5月中旬
価格 5グラム1680円、50グラム13500円
岩茶のトップへ
当記事は2024年1月5日の悟源澗白鶏冠リュニューアル更新しました。
コメント