
老叢水仙について
老叢水仙(老欉水仙)は岩茶の品種のひとつ武夷水仙かつ樹齢50-60年以上かつ写真のように藪状態の茶園で採集された岩茶である。老叢水仙という茶は、香りは穏やかなのだが、香気はすこぶる強い、その雰囲気に加えて何とも美味しそうな香気がこの茶を淹れると漂うのも魅力だ。
味わいとその余韻の強さに加えて、非常に大きな茶葉を収穫するため産量が多く農業的にも重要であるということ、武夷山風景区内において生産される岩茶の大多数が肉桂と水仙であることから、この2品種は岩茶のなかで非常に重要な品種であることがわかります、武夷山における言われにおいて、香不過肉桂・醇不過水仙(香りで肉桂を超える岩茶はなく、味わいで水仙を超える岩茶はない)などと言われるところ、味わいで水仙を超える茶はないとは、後味・滋味・美味しさ(自然の旨味)品種の味において水仙を超える岩茶は無いという意味、この水仙とは老叢水仙のことを事実上は指しています。花や果実を連想する肉桂のような強い香りを求めるなら老叢でない水仙をお勧めするところ。

品質の高い老叢水仙は味がすこぶる良く、武夷山の大地が産み出した自然由来の旨味と表現するのが適当だろう、数えきれないほど中国茶を飲んできたが、味の良さは圧倒的だと思う、私は味の良い中国茶は何かと聞かれたら玉露にも共通する味わいを持っているので岩茶の老叢水仙と答えている。この玉露の味わいはその正岩茶特有の日当たりの悪さという生育環境から生み出されている。
天遊峰老叢水仙
この茶は世界遺産武夷山風景区内の一角である天遊峰景区、そのシンボルとなる大きな岩山(天遊峰)その麓、日当たりの悪い一角の茶園から採茶された老叢水仙を春一番茶を原料としている。

叢味! 味が素晴らしい
驚くべき、自然体な美味しさだ、高級中国茶ながら余韻や後味だけでなく、舌に着けた瞬間に感じる味に加えて、柔らかくとも(じわじわ)と惹き付けられる、わかりやすい味わいに加え、透明感があるにも関わらずフルボディで余韻は強く、さらに濁りの無い後味は最高だと言いたい。

これだけ味が強いのにも関わらず、自然栽培で育てられたというのが凄まじい(うま味が強い)と表現してしまうと肥料をたっぷり使った、普通の量産茶の味という印象を受ける為、高級茶とは言えなくなるので避けるが(旨いお茶だ)この味を出すことにより、一般受けする茶を作るからこそ。肥料に頼ることになる一因となるにも関わらず、日陰という環境から、この味が出てしまう武夷山はやはり凄い、そしてこのような作り方という伝統を守るために自然栽培している農家さんも茶師も素晴らしい。もし肥料が入っていたら、ここまでの余韻と透明感、後味が出てくることはあり得ない。
2020 焙煎一回 軽火

茶葉3g 洗茶二回 水仙らしい香りとミネラルの香りが広がる、アロマは水仙花香(水仙という品種の香り)としか例えられない美味しそうな、香りが香っている、無理やり例えれば早春に取れたタケノコの香りだ、口に含むと柔らかく心地がよいフルボディだ、舌に茶液がつくと感じられるミネラルの美味しさが感動的(美味しい)という感覚が脳に走る、フレーバー(香味)は水仙花香と竹林とタケノコとしか思えない、余韻は肩まで広がりながら、高級武夷岩茶らしい背中を走るあの余韻を完備、後味では透明感を感じるミネラル美味しさが長く残る。なおこのような味わいを(竹葉味)と岩茶の用語では例える場合があるようだ。

特性と他と比べて
余韻については老叢水仙全体で見渡した場合は百年老叢水仙等、さらに高価な物と比較すると強いと言えないのだが、樹齢は50年以上とされているので問題ない範囲とした。(一般的には樹齢が高いほど余韻が強い(高くなる)と言われている)
総合的に考えて私がもっと惹きつけられる中国茶であるといえる。この茶を単純に言い表せば(味がとても良い)焙煎は一回としているが、茶葉が持つ本来の味を強調するべく、炭焙ながら焙煎弱めで調整されたとても珍しいタイプの老叢水仙なのだ。
コストパフォーマンス、私が輸入している銘柄なので値段は私がつけなければならないが、国内価格比較から鳳凰単叢基準の余韻で見れば15g2300~2600円程度に匹敵、しかしそれらから比較して味が格段に良く、武夷岩茶の老叢水仙かつ風景区産の岩茶は中国茶のなかでも圧倒的な高値で取引されることや岩茶の世界では現状では非公開ながら有名な茶師さんにより製茶されたこと、日本で売られている品質から考えれば一般的な国内有名専門店で売られれば5g1200円は最低ラインで2000~2500円程度を予想している。中国国内向け御茶荘の希望小売価格は500g3800元(1元19円換算にて日本円で50g7200円ほど)希少性があるので常時販売はされていないようだ。

2019 焙煎二回 中火
焙煎は軽めの中火、去年の購入した当初は竹林や蓮を連想する香りに、爽やかな甘さというイメージの老叢水仙であったが、10ヵ月経過して自然乾燥による陳化が進んで行き、枯れ葉、木材などを感じる木質味が強くなった。
- この茶は新茶のときの竹葉味と青苔味などの清香の美味しさに加え、梅雨の竹藪や初夏の森を感じるかのような老叢水仙として作られていた。
- 一般的な焙煎の強めの老叢水仙は木質や紅葉など老いや哀愁を感じるものとは対照的であった。
- この記事を出したときの様子は一般的な老欉水仙に味になってきている。

お湯を注ぐと海苔や木質を連想する香りがモワッと広がる
強いミネラルの香りも一緒になって強烈口に含むとフルボディでタマゴの黄身やカスタードなどを連想する独特な水仙の滋味を感じる・そこに強い木質を感じる味が重さなる。
- 飲んだあとの喉付近の気持ちよさに全身に回る叢味(老叢の深さ)その余韻が良い。
- 体感は老叢のなかでは強烈に強くはないが、茶液の味の濃さとミネラルの強さが染み渡る。

品種 祝老欉水仙
樹齢 50年以上
焙煎 伝統式炭焙 中火
価格 5グラム850円 50グラム8000円

呉三地百年老叢水仙
一般的には百年老叢水仙を名乗る老叢水仙は樹齢80年以上というのが一般的だが、こちらは樹齢100年以上の老叢水仙を原料としている。
2020 軽火
栽培環境の標高は約1200m前後 茶樹の樹齢は120年程度 岩茶としては格別の環境


味わいと香りの特徴
- 大きなボディに強烈な余韻
- 余韻の強さは岩茶としては異次元
- 岩茶のコンテスト優勝物の老欉水仙に匹敵かそれ以上
- アロマはいわいる水仙花香という、爽やかで濃厚な花の香り
- 枯れた老木を連想する香り、香り自体に強烈な余韻
- 香味は叢味などと言われる、青苔味と木質味、海藻を感じる香りと老木の感覚を感じる。
- 味は甘さに加え、美味しい酸味が長く続く、茶液の密度が高く、極めて満足感は高い。

- 標高の高さから来る、繊細な味わいを持っている。
- 景区の老叢水仙とは一線を画す、独特の味のきめ細かな味わいを持っている。
- 味・香・・余韻すべてが強く、繊細で堂々たる高級感のある中国茶だ。
茶底(茶がら)非常に硬くしまりがあり、ペタッとしない、標高の高さが良くわかる。
価格 5グラム2200円 50グラム21000円
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天遊峰老叢水仙は立ち上げてまだ1年足らずのこのサイト(茶の穂 香木と中国茶のブログ)の為に画像を用意して頂き、さらに回して頂いたロットで、日本では今のところ流通しておりません。画像の転載等を固く禁じます。武夷山の農家さまと御茶荘に感謝を申し上げます。追記➡2021年6月8日最近は流通し始めたようですが、同じ名称であってもこのページで紹介しているものとは一切関係ありません。
更新 2022年5月1日 価格情報を追加
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