こちらの記事では前半に武夷岩茶の価格決定要因について、後半では品評会受賞品、コンテストで奬を取った岩茶の流通や現状について解説しております。後半の記事は中国茶についてある程度のご理解がある方を対象とした内容となっております。
高級烏龍茶の価格決定要因
高級烏龍茶の価格は余韻の強さ=値段となり、樹齢の高い製品は余韻が強くなる傾向が強いので値段も高くなりますが、北斗峰老樹北斗のように無ブレンドで余韻の長さが特徴的な老欉梅占よりも老樹肉桂の値段が高いなど、岩茶の場合は一概に言えないところはあります。
大紅袍、肉桂、老欉水仙など、同じ品種同士における値段の違いは産地や味わいや美味しさ、焙煎の強弱はほぼ関係なく、余韻の強さと岩茶独自のミネラル香の強さ、ネームバリュー方面、牛欄坑だから、慧苑坑だから値段が高いなども影響しますが、基本的には品質順=余韻の強さ順となります。岩茶おける価格決定時に取る余韻は口感も大きさと体感の強さとなり、余韻が強く高品質な岩茶は産地が三坑両澗内のマニアが喜ぶ上記で掲げたような最上産地の製品だったというのが面白いところです。
武夷岩茶の価格に影響を及ぼす要因
最重要
余韻の強さ(後味の長さ、体感の強さ、煎持ちの長さ)
- 樹齢が高い物や減肥料や無肥料栽培の岩茶は余韻が長くなるため、評価があがる。
- 慧苑坑や牛欄坑など日陰型や半日陰型の岩茶は余韻が長くなるため、評価があがる。
- 肉桂の場合は樹齢30年以上の老樹とそうでない物かでは余韻の違いから価格は30-100%ほど異なる。老樹や減肥料無肥料でない肉桂水仙は余韻が落ちるため、30-60%価格は安くなる。
ミネラル香の強さ、ボディ(口感)の大きさ(岩骨花香の強弱)
三坑両澗や三坑両澗二窠、牛欄坑、慧苑坑、九龍窠、流香澗、悟源澗ならび竹窠、走馬楼など付随産地の岩茶は口感が大きくなり、ミネラル香が特に強くなるため評価があがる。※ミネラル香と口感の大きさを合わせて、現地では岩骨花香と呼ぶ。
武夷山の世界遺産登録区域こと風景区産の岩茶、有名な場所では馬頭岩、水簾洞、虎簫岩などほぼすべて、岩茶らしいミネラル香が標準的であるので評価があがる。一般的には正岩茶ともいう、これらは三坑両澗の岩茶と比べると岩骨花香はやや弱いため、三坑両澗の岩茶だけを正岩茶と思っている僅かな人はこれらを半岩茶という。
風景区でない岩茶は岩骨花香が風景区産三坑両澗と比べて半分程度になる場合があるので半岩茶と呼ばれることがある。ボディはあるが、ミネラル香が殆ど感じられない物は淵茶と呼ばれ、岩骨花香自体がないものは福建省産烏龍茶となり岩茶と名乗れない。

※三坑両澗産の岩茶でも樹齢が若い、過剰収穫などの要因で岩骨花香をほとんど持たない場合もある、このあたりはワイン等に同じ。
次点
品種の人気
肉桂か老欉水仙どうか?
肉桂水仙は人気が高いため高値になり、梅占などマイナー品種はやや安価となります。
※肉桂は中国茶のなかでは余韻が弱い品種ながら、香気の評価や土地の個性を反映しやすく評価が高い。※老欉水仙は中国茶のなかでも余韻が強い品種ですが、生産量が多いので少し割安になります。
古井や牛欄坑など高級産地かどうか?
超高級産地は三坑両澗のなかでも本物ならば同等品よりも余韻が僅かながら長くなり、価格が2.5ー4倍ほど跳ね上がる。※かなり飲みつけている飲み手や一部の岩茶専門茶商でないと三坑両澗産地と古井など神秘的産地の違い、僅かに伸びる余韻はわからない範囲であり、品質の近い、慧苑坑老欉水仙を古井老欉水仙と改名したり、やや品質の高い風景区産肉桂各種を牛欄坑肉桂として販売することは中国国内では広く一般的である。
香気の強さ(同品種間での比較にかぎる)
品種同士で比較した場合に香りが強い弱いが出る場合は強い物が甲、弱い物が乙となるが、岩茶の焙煎は香気の弱さを焙煎でカバーするので鳳凰単欉のように香りにおいて致命的に価格を左右しないが、雨が続いたなどで香りも弱くなり、余韻が落ちた場合は評価が多少落ちる。
製茶ミスがあるか?
焙煎のしすぎで焦げた高火状態、コンディションが悪く劣化気味、殺青不良などの製茶や管理ミスがあると余韻が落ちるため減額対象となる。

余韻の評価で一貫している
美味しいから、味が良いから高級など、個人主観的な全く何をもって高級なのか?根拠がない要素によって、価格決定要因とはならないのが高級中国茶の特徴であり、余韻での品質順を歴史的にも現在の国をあげても、品評会等を通して徹底的に管理しており、余韻の強さで決めることはコーヒーにおけるカップオブエクセレンスCOEと同じであり評価が適正、茶葉の評価水準の高さに加え、買い手のレベルの高さから世界一高値で取引される烏龍茶が生まれます。※余韻とは口感の大きさも含まれます。
品評会受賞品を扱う中国茶業者の現状と理解度
- こちらの項目では、品評会で奬を取ったとされる製品の流通や茶業界での扱い、鑑定方法や信頼できる店の見分け方などを記載しておりますが、刺激の強い内容ですので、あるていどの上級者さまを除いて、当店のブログにおいてもっとも閲覧に注意が必要な項目になります。
- 実態ではありますが、一般のお客さまは、読んでいて不快になる可能性がある内容になります、ご注意くださいませ。
こちらの記事は、三年連続で2000近いロットから上位2パーセントに勝ち上がった特等奨水仙 V3の新発売と当店で今後発売される品評会受賞品に備えて、2025年11月13日に新規で投稿いたしました。
品評会受賞品など品評会に積極的に出品しているというのは普段の取引先から聞いていましたが、店頭や試飲スペースに受賞品や賞状などを一切置いておらず、そのような製品も一切売ってませんでした。
特等奨水仙 V3 仕入れの経緯より https://iwacha.stores.jp/items/677beadf1052510f4d403740
水仙の三連覇を含めて品評会で奨を取っているのに、なぜ常時、賞状などを掲示していない理由はどうやら(一般的な中国人茶商の一見(いちげん)さんは賞状類の写真だけ撮影して、受賞品と言いながら中身は別の売れば良い)という意味に取るらしく、そのような不届き者が多く居るから設置していないのだそうだ。
このような製品は信頼のある取引先にしか見せないし物も売らないということらしく、当方はかなり呆れました。
一般個人向けに売られている受賞製品の殆どが偽物だろうとプロの間では考えられている?
店主は、このような品評会受賞品に関して日本国内の同業者から
- (賞状の写真だけとり実際は別の物や当然ながら似たのを混ぜて、売るのだろう)※関東方面10年以上中国茶店主より
- 品評会で奬を取ったなどの製品について(そんなの売ると信用が落ちる)、(まともに売る店がない)のは当たり前だから(上級者から下に見られる)※国内大手茶輸入企業経営者さまより
- 上記のような事情がセオリーであるため
- (品評会で奬をとったその物なんて、本物があると思っていない)※中国茶カフェ店主/経歴20年以上
このような貴重なご意見を先輩方や取引先より店主は何度も頂いております。
ただ日本国内にまず本物が無いのが当たり前だからそこ、店主は世界に一個しかないような希少香木の収集売買を強みとしてきており、出品前から受賞できるか、試飲で判定ができる能力があることが取引先を通じて噂で広まったことから、このような希少性がある受賞品を店主は7年にわたり収集しており、作者から託される以上は、少なくとも当方は混ぜたり、違うものを売るということは行っておりません。
そんなことをしていたら、当店は続きませんし、売上はネットショップ開設以来右肩あがりという成長もしてなかったと思います。意外にも店主はあえて、超高級品は探し回ったりしません、最高級を求めて目の色を変えて、さがした回ったら、それこそ、賞状だけ見せてもらえるが、実際には中身が違うものを買うことになったり価格が業者や友達向けの最安値から3〜4倍くらいになります。
もちろん日本人経営の茶屋でも表彰状の写真だけを撮影して、その製品とはどうやら違う物が売られたようだ、という話しを聞いたのは、店主は一度や二度ではありません。そして、天心村の情報網はすさまじく、例えば日本人◯◯が何月何日◯◯◯gをいくらで購入、賞状の写真だけ撮影してから、他のを購入して帰って、日本のネットショップで売られた等の詳細情報は割と筒抜けで、天心村内の情報網では、すぐわかるようです。なのでそれをやると本物を買うことは次回以降、難しくなります、逆に当店は真面目に売るので、こういう商品がいろいろ回ってきます。
真面目に品評会受賞品を発売している店は日本にも当店以外で存在するようですが、基本的には日本の中国茶関係から見ると、多くは上記にように映るようです。
なお店主は特殊な茶葉における品質管理能力は長野県にある高級中国茶取り扱いで国内大手企業の社長からノウハウを教えてもらったり、実験を繰り返して学びました。
品評会受賞品の真贋判定方法や価値や評価の理解度
品評会受賞品の岩茶は試飲において、真贋が明瞭にわかる製品のひとつです。そのため賞状の写真のみを撮影して、別の製品を売ると愛好家の一部に嘘が発覚することがある製品となっております。
価値や評価の理解度
品評会受賞品の判定では余韻とバランスの良さが重視され、この価値が理解できる茶商や愛好家によって価値が生まれます。愛好家の方がそれほど理解しているかは不明ですが、中国茶以外、台湾茶関係者とも話ても、品評会の審査員、茶王や状元など一位取得者、上位入賞経験豊富な方と話す限り、受賞品は試飲で価値がわかり、飲むだけで真贋が理解できる人間は中国茶専門店店主や職人、取扱卸店のバイヤーのうち、プロのなかで3から4人のうち1人、確率で25~30%前後くらい、居れば良いほうだろうと良く言われます。
すなわち品評会受賞品はそれだけ難易度が高い製品であり、経歴何十年というプロを含めて、高級茶葉のプロフェッショナルのうち30%程度しか、見抜くことができないと上位商品を扱う茶商のあいだ言われています。
さらに、上位2%や茶王を繰り返し取る生産者の話では、品評会へ出品前に受賞の可否が見抜けるのは、上位2%を取ることができる生産者、それらを取扱できるごく一部の茶商に求められる特殊能力であり、茶商というプロのなかでも、生まれながらの武夷山人専門茶商のうち7~8人に1人くらい、中国人茶商のなかで100人2~3人くらい、茶の穂店主のように外国人では例を知らないらしいです。
コンテスト受賞品における真贋判定方法
まず品評会受賞品を連想する名称である茶王や金賞肉桂の記載がっても自称にて名前だけがついている製品が殆どとなります。鑑定方法はまず、※受賞番号や順位に関する記載があるか?品評会の権威やコンテストの詳しい情報が記載されているのか? 品評会受賞品と言えども実態のない品評会であり信頼性がない場合がある。※ただし優質奬など下位受賞品の場合は受賞品であっても受賞番号などが、もともと無いものもあります。
売りての見分け方
高級品や茶葉に真摯に向き合っていることが、大前提となります。淹れてがへらへら、ニコニコしているような、お店には、この手の製品における本物や本物の高級製品は基本的にありません。これは店主自身も経験上そう思い、いまでは当方とおなじく中国茶仕入れ歴20年以上をもつ先輩たち4名から同じことを、若いころから教えられてきました。
次に市場や他社には本物が存在しないという主張する店にも注意が必要です。他社に本物が無い無いと主張する店は2パターンあり、場所に関する主張はある程度信頼性があるかもしれません。樹齢に関する主張である場合、岩茶百年クラスの老欉水仙なんて存在しないなどは世代遅れで、試飲能力が無いといえます。
本物がある店は入手の経路がはっきりと掲載されていることや、茶葉の画像が掲載されていることが重要となります。まぜたり実際とは違う製品を品評会品として扱う茶商は、基本的に茶葉画像は掲載しません。
店主は日本国内で岩茶を購入したことが殆ど無いため一般向けは知りませんが、このような製品の本物を取扱している店を一般むけに取扱してないが、何店舗か知っております。当店も結果的にそうなりましたが、ある程度の量を仕入れなければこのような製品は、継続的な入手機会が無いため業務用が主体となるお店になります。
さらに国際的に需要のある製品になるため。外国人率が高くなり、本物がある店は世界中から注文が来て外国輸出、主体が日本人一般のお客さま相手の店は、日本人の一般的な基準に基準になっているため経営側の基準が落ちるためだと考えらます。
試飲での鑑定方法
上位入賞の品評会受賞品がもっており、かつ茶葉の状態が完璧でないと出現しない余韻の王者、神韻をもつ製品が品評会で上位入賞、まれに優勝するのですが、これを理解できるのがテイスターのうち上位30%なのだそうです。
この判定能力を身につけるには、幼少の頃から、高級茶を特別な方法で淹れて飲ませるなどの英才教育をおこない3割程度の人が発現して、とても能力がある人は、早い場合で25-30歳ごろに判定能力が出るといわれており、中国において高級茶葉を扱う茶屋になるために必須の能力なのだそうです。
茶商や品評会上位を取る生産者のこどもでも3~4割しか出ないという上位の試飲能力がある場合、中国では高級茶葉を扱う茶商や作れる生産者になれたら医師や弁護士なみの年収は普通に期待でき、上手くやると億万長者になることも射程に入るそうです。
これは中国福建省では一般的な月給が日本円で5万円以下、中央値で2万円半ばくらいなんですが、500g2~20万円の高級茶葉を月に何十、何百キロと売り買いできる茶屋は憧れの職業です。
状態によって変わる味わい
店主も武夷山で、中身を秘密にされて、超絶最高級品を出されたことがあり、その場では価値が全くわからず。
相手から家で飲んでねぇと、武夷山土産として貰い、日本に持ち帰り、最初に飲んだところこれは素晴らしい高級茶だ!でも高級岩茶としては、普通な感じと評価したのですが、観察したところ茶葉表面の状態が、わるかったので、当店の技術で調整を行って状態を最良とした後に試飲したところ。
あまりのすばらしさに、何百本に一本レベルのまれにみるトップオブトップだとわかり、欲しいと武夷山へ緊急電話して、(それは実は、品評会で1位を取った茶王なんだ)と打ち明けられた、ことがあります。
正直に書けば、茶葉の状態が悪いと品評会受賞製品特有の神韻が出なくなるため、普通の高級茶とかわらず、店主でも全く判定できませんでしたので、茶葉の状態に注意が必要であり、取り扱いはとても難しい製品だと改めて実感しました。
実際に当店において単体では最高の売上を誇った品評会上位受賞品の振興杯金賞肉桂2022は、状態の調整に苦戦と手間を要した製品であり、輸入したままでは状態が悪く、特殊な器具を3種類使用するなどを行い、2週間以上かけてないと品評会で賞を取った際の味わい、超絶高級品の強い余韻が引き出せないという曲者でした。
当店の岩茶で神韻が感じられた製品は、武夷星天心杯金賞肉桂4/252位 振興杯金奬肉桂13/549 特等賞水仙V3 30前半/1950+位という具合に品評会上位品のなかでも上位2-2.5%クラスの製品に限られており、数はかなり少ないといえます。
なお当店において、品評会受賞品以外においては、老樹肉桂1969、慧苑坑百年老欉水仙 濃香が強く神韻があり上位2-2.5%ライン、磊石精舎前老樹肉桂がやや神韻を保有しており、上位10~2%レベルの獲奬が推測値ですが、狙える製品です。
茶商の信頼性は経営者の国籍で決まるわけではない
日本人だから信用できる、中国人は信用できない、などという視点は全くの間違いで、中国人でも物凄く真面目で信用できる方たちもおります。
日本人でも天心村の人たちもビックリな激安品ばかり仕入れるのです、しかし、それでも続く店の特徴は、基本的には(ど、う、せ、日本人、外国人向け)だからと見下すのではなく、仕入れてる方、①高級品や品評会物を知っているが、自分がどれだけ高級品を試飲しても、テイスティング能力が無く、価値が全くわからないので、偽物を本物と自己認識(安い製品のほうが、高額な製品より、味が美味しいなど)の自己認識することで、基準が甘くなり、こんな安いのは異常だと高くうる等という、実は偽物が大好きな方も割と居るのが実情です。
なかには価値が分かっても価値をすり替えて評価し、品評会の評価法なども、否定して、茶商独自の考えで、品質を決めるとんでもない店も存在しており、日本ではそのような店も天下で通用したのですが、ここ数年は客離れが起きているようです。なおこういう店のほうがSNSや一般人相手に強いようです。
前者のような当店のような堅物の店は、業者やプロ相手に強く、一般消費者に弱いというのも業界では、よく言われるのですが実際どうなのでしょう。答えは明快であり、茶の穂における業者さんや大口購入さまむけの売上比率は開業来推定7~8割以上、いわゆる一般のお客様は売上にするとかなり少ないことからも傾向は合っているようです。
思い返すと、当店がSNSに強かった頃は一般客の割合が一時期に高くなった頃でした、売上も現在と比較すると低く、従業員は品質管理の観点から増やしたく無いので、現在のように忙しくてSNSを見てる余裕も投稿する時間もない、注文の受け入れでは、これ以上のキャパが無いので、あえてXも触れないという状態は、とてもありがたいことあると思いました。
当店ではお客様からの需要がある限り、品評会受賞の岩茶などを仕入れてまいります、最後まで読んで下さりありがとうございました。
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