香木はどこにある?
香木のある地域は東南アジア、沈香が場所は木の幹の中、その木が自然枯死することにより沈香となった部分のみが腐らずに埋没して残るため、土の中や沼底などにも存在しており採集される。
採集方法と見つけ方
天然の香木を採集するには、ハンターたちは事前に香木が生息する場所を調べます。採集方法には、基本的に2つの方法があります。一つは、木の幹の内部にある香木を採る方法で、虫が穴をあけたりすることが目印となります。ハンターたちは、ナタを使って木を切り倒し、その中から香木を探し出します。もう一つは、地面を掘り返して探す方法です。採集者たちは、地表で何かしらのサインを見つけたら、集めたアルバイトたちとともに、決められた範囲内を徹底的に掘り返すことで香木を発見します。
写真、幹の中から探している様子について説明、沈香樹にドリルなど使いて穴を開けて、樹脂の沈着を人工的に促してから数年後にナタを入れて沈香を収穫している様子である。
海岸では取れない
海岸では沈香を採集することはできない。比重が重く、水に沈むためである。そこで、海岸で採取されるのは、龍涎香というクジラ由来の動物性香料であり、香木ではない。595年4月に淡路島に漂着したとされる香木が、最古の沈香に関する記録である。しかしその後、海岸で沈香が採取されたという記録や話は一切伝わっていない。この事実を知らず、沈香を海岸で採取できると思い込んでいる人々が多いことから、この記録は、1400年以上前の日本最古の記録であるにもかかわらず、実は沈香と龍涎香を混同したものではないかという疑問がある。
- 海岸では取れないが産地の山奥の河原では取れるようだ。
- 海岸では白檀が生育しておりとれる白檀は場合がある。
香木のでき方と沈香の名前の由来
クスノキの木に似たジンチョウゲ科の沈香樹に何らかの刺激が加わることにより、その箇所に大量の樹液が溜まり硬化したものが沈香(じんこう)こと沈水香木(じんすいこうぼく)であり、名前の由来は水に沈むことから名付けられた。
このような過程により香木ができることを専門用語では(香を結ぶ)と表現する、沈香樹が香を結ぶことにより、ただの木から水に沈むようになり、素晴らしい香りを放つ沈香へと変化するのだ。
- 沈香のできる箇所は木の幹や枝そして根などにできる、基本的に琥珀と同じ原理である。
- 刺激とは?枝が折れる、虫に食われて木の幹などに穴が開く、病気になる等。
- 沈香のでき方は動物や人間の身体的問題に例えるとかさぶたや胆石に近い。
- これらが自然現象により重なり香を結んだ場合は天然の沈香であり、人の手が一定以上加わった場合は人工沈香となる。
香木の種類
世界共通の木材的な種類
お香の原料で香木とされる木材は沈香・伽羅・白檀の三種類が基本である。おおまかな三部類にわけられが、それぞれ多種多様な亜種や種類がある。沈香はインドシナ半島産のシャム沈香とインドネシア周辺の島嶼から産するタニ沈香に分類されることが多い。
取れる地域と主要な産地
沈水香木のとれる地域はフィリピンを除く東南アジアで中国雲南省や海南島でも産出する。
高品質な沈香が採集される主要な産地はベトナムとインドネシアとその周辺地域である。
そのなかでも伽羅はベトナムとその周辺でしか取れないとされる。
詳細な記事を用意しているのでご参照ください。
伽羅の全貌 沈香との違い
- シャム沈香 ベトナム 伽羅はシャム沈香の一種類でありベトナムでしか取れない
- タニ沈香 インドネシア マレーシア ブルネイ
香道における種類
六国五味とは香木の分類法のひとつ・香道における香木を伝統的かつ秘伝的な基準を用いて六種類に分類する習慣があり、これを国と例えて六国列香とする、それらの解説
六国列香とは?
六国とは、香木を香りごとに六種類に分類する日本古来からの香木区別法。香木で六国と言えば基本的に香道で利用する香木のことであり、香木という枠のなかで香道において用いる一定の香りが出る物であると言える。例外もあるが沈香の高級品という認識で良い。
基本的に六種類だが、新伽羅を足して七種類とする場合がある。
六国列香の基準や使用する香木は流派によって区別法や使用する香木は異なる。
- 例 志野流では志野流の六国があり、御家流では御家流の六国があり、お店ごとに六国を定める例もある。
- ➡お店で販売されている六国列香は基本的に御家元の定めた香りの出る香木一定のなど、一定の根拠をもとにして店が独自に六国を選別して売られているため、実際の香道で用いない香りの出る香木や好みの問題があり、その木所で使われるとは限らない。
- ➡最終的には使用者の判断(先生の判断)となり、香道の流派や好みにより利用する香木が大きく異なるため、最終的には使用者(流派先生)の判断となります。
- ➡上記の行き違いを回避するために御家元の指導下で香木を選択するお店もあります。
香木の銘について
- 香木に銘が付いている場合がある
- 正銘・御家元銘とは?その中から厳選された、一定のサイズの物を御家元に提出して木所・味・位が付与された香木のこと。しかし、家元に半分を献上するなどの習慣があり、事実上サイズの大きい沈香は更に単価にプレミアム価格がつく現状において、銘を貰う手間と販売価格を加味すれば、正銘が今後は増えることはあまりなさそうだ。
- 対して仮銘はお店などが一定の基準をもとに付けた銘
木所=香木の種類
読み方と解説 この項目は伝統的な分類に基づきます。
- 味 志野流で使う香木における香味 御家流における代表的な香味
- 人や職業への形容 香りの陰陽 略号(記号)産地
以下の項目は独自の見解に基づきます
- 香木の産地 利用されている香木の主な産出地及び国
- 希少性と価格の高低
- 参考事項
香木愛好家として重視するポイント、香木を聞く場合は木所の系統を意識しつつ楽しみ学習してコレクションする。
- 取集と触れ方・お香屋で六国として販売されている沈香のセットを購入して聞く。
- 六国とされている沈香を購入する。それらを本格的に学びたければ体験や香道に入門する。
五味について
五味は香木の持つ5種類の香味のことで、こちらはどの流派でも通用します。
五種類で甘・苦・辛・酸・鹹・慣れないうちは全て甘い香りと思ってしまうのだが、慣れるとわかるようになってくる。この五味の認識は香木を収集するうえでの必須事項となり、この五味をおおよそ覚えなければ香木愛好家や香道家の一定以上の会話や文章についていけません。特殊の香りなので例えるのは非常に難しいため以下の解説は独自見解にもとづきます。
- 甘(あまい) 黒葡萄の甘さ・ラムネや上白糖の香り・
- 苦(にがい) クローヴ(丁子)の香り・漢方薬の香り・上質な沈香の香り
- 辛(からい) 一味唐辛子の香り・唐辛子の辛味
- 酸(すっぱい) シトロンの甘さ・レモンの香り・梅の花の甘さ
- 鹹(しおからい) 海藻の焦げた匂い・ミネラルの香り・軽い汗の匂い・木材の燃える匂い
六国の種類
伽羅
- 読み方 きゃら Kyara 略 イ(一)1
- 味 志野流(苦)御家流(苦)
- 宮人公家天人・陽・一・ベトナム
- 産地 ベトナムの中部高原とその周辺
- それらの種類は豊富であり、伽羅は奇楠・奇楠香・奇楠沈香とも言う。
- 木所における伽羅は流派ごとに一定品質の伽羅から更に選別する。
羅国
- 読み方 らこく Rakoku 略(二)2
- 味 志野流(甘)御家流(甘)陽 シャムタイ
- 産地 ベトナム
- 聞香用としては希少 価格は高価な部類
- 香道で利用する羅国は伽羅の中から選ばれる場合がある。
- 甘 が特徴
羅国の関連記事
真南蛮
- 読み方 まなばん Manaban 略 (三)
- 味 御家流(鹹)志野流(甘)
- 百姓・陰・三・マナバール
- 産地 ベトナム タイ カンボジア 中国雲南 インドネシア スマトラ島
- 六国として流通量が豊富 価格は高低ある。
真南蛮の詳細記事
真那賀
- 読み方 まなか Manaka 略 ウ
- 味 御家流(無味)
- 味 志野流(鹹)
- 女・陰・ウ・マラッカ
- 産地 ベトナム タイ カンボジア マレーシア ボルネオ島 ブルネイ・ダルサラーム国
- 木所の範囲が広く 使う香木の範囲は価格品質は高低ある。
真那賀の詳細記事
佐曽羅
- 読み方 さそら Sasora 佐曾羅とも
- 味 志野流(酸)御家流(辛)
- 僧・陽or陽・花一・サソリー島
- 産地 インドネシア各地 カリマンタン島 スマトラ島 インド(栴檀)
- 香木の種類 沈水香木・栴檀
- 流派によっては栴檀や白檀を使う場合がある。
寸聞多羅
- 読み方 すもんだら Sumondara
- 読み方 すもたら Sumontara
- 味 志野流(酸)御家流(酸)
- 地下人・陰・花二・スマトラ島
- 産地 カリマンタン島 インドネシア
寸聞多羅 寸門陀羅の詳細記事
新伽羅
- 読み方 しんきゃら Shinkyara 略 花三
- 味 志野流(苦)御家流(苦)
- 伽羅の円熟していない物
- 産地 ベトナム ラオス
- 種類 ベトナム沈香・奇楠沈香・伽羅
- (円熟していない)とは?香りのよし悪しという意味ではない。
新伽羅の詳細記事
注意事項
- 木所における香木の種類は流派・店・などで当てる香木は異なります。
- 御家流として紹介している味は、御家流香道の一部でありこの限りでない。
- 東方ロストワードにおけるアイテム香木の解説は御家流を基準としていると考えられる。
当サイトは香木を一年に何十万円も蒐集している香木マニアな筆者が書いている。
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参考文献
- 香木を学習する文献が増えた為、探求は更に深まり、これらの書物や先人からの情報を入手により、ブログという機能と香木の愛好家というマニアという地位を生かし、個人ブログという性質上、内容の精度を上げるために、4年以上も繰り返し非公開・公開・内容改定を繰り返しているのが本ブログである。
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