沈水香木(沈香)の最高級品である伽羅は、香木の王者であることはその驚くべき高価な値段と希少性から明白な事実であると言える。しかし、それらに様々な色合い見た目があり、木質や香りまで異なるのだ。それらを鑑賞してこの新記事では色に加えて木質や状態などを鑑賞したい。
伽羅の色合いの種類
伽羅の色の分類は見た目で判断されて区別されることがある、それらの分類はかなり大雑把なものに感じつつも香りの系統や性質には一定の共通性があるものだ。
- 国内では緑油伽羅が圧倒的な知名度を誇っている。しかしながら、一般的に取引される伽羅が主に緑油系統であること、その名称が覚えやすい為にブランド化したことによって植え付けられたある種の迷信が肥大化して伝わっていると思っている。
- どの色の系列の木であっても一定の品質があるならば香りが異なっても品質に大差はない物だと思っている。
- 以下の説明文は記事の為に見た目でおおまかに色分けしてさらに香りの系統で判別。
緑油系統 (緑油伽羅)
これぞ伽羅と言わんばかりの華やかかつ強烈な香り!見た目においても小さく切ると宝石のように輝いて見える物もあり、見た目での判別が容易であり、香りはなんとも言えない万能的な香りに感じる。物によってはかなり香りが強く鼻をつぶす、それでも芳香の塊だと実感できる。
- 最初に伽羅を聞く場合は緑油をはじめとするこの色や軟質な物を試すと良いと思う。
- 独特の華やかさと柔らかさの中の強さが特徴 (苦みと甘みor酸み)

こちらは国外における分類法をさらに掘り下げた内容
- 緑油系伽羅 ただし色合いの角度が緑っぽければ全部がそう言われているところはある。
- 白皮緑油・緑油伽羅の最上級品と考えてよいでしょう。 そもそも白皮を目撃するにはそれなりのサイズの原木を目る必要があるのでこの状態を実感しにくい。
- 仮に皆さまが所持していたとしても、割や小分け状態だと分かりにくいでしょう。
- 香りは緑油伽羅の香りを上品にして極めたような感じを受けるが一概に表現できない。
- 金糸結緑油・甘味に特徴あり上級者向きとされる。
- 生結緑油・お寺に1970年代に大量に収蔵されたと外国で噂されていた、極めて軟質であり常温での香りには特に優れる。
- 熟結緑油 ・やや硬質だが芳醇な香りで強く柔らかい➡黄油とする説あり。

黄油系 (黄油伽羅)
最初の辛味が特徴的な伽羅らしい香木であり、ガッツリ苦みと辛味が来るので脳天に響くところ、多彩な見た目では黄金色もしくは沈香のような肌をしていて黄色い、沈香に近い物は香りの持続性にある、基本的に辛が特徴でキツイと感じるものもあるが、温度の調整である程度コントロールできる。
切断してある場合は緑油に近い見ために見える為、その名称で売られている事も多く、刻みで売られている緑油伽羅の大半はこちらになると自分は思っている。
- 単純に黄金や山吹色という分類となるなら、いわゆる普通の伽羅はすべて黄系になってしまうところ、辛味でなく木質と油に注意が必要。
- 白油
- 上品の極みな香りで持続性は抜群に優れる高温でも焦げない。
- 真っ白でカスカスでとにかく五味完備の物がある。
青油系 (青油伽羅)
- 見た目の感じは、黒油と黄油や紫油の中間のようなイメージを受け、それらの混合型のような独特の柑橘系と梅花系統の香りを基本として、緑油及び黄油の中間的素質があるように感じる、そのため辛味と酸味、独特に広がる強い味わいと奥行きを感じる。
紫油系 (紫油伽羅)
- 重く重厚な香りときらびやかな香水を連想する、刺激的な香りは比較的に抑えられており、黄油のような刺激的な香りでなく重層かつ濃厚である。
- 甘味を特徴としており、甘と苦を基本とした、蘭の香りともされる何とも言えぬ濃厚な香り、色合いの薄い木が辛味に強烈・強い香りならば、色合いの濃い木は、香りも濃厚で複雑かつ濃縮感すらある。

- 紫伽羅 (紫油伽羅の系統)
- 紫油伽羅の少し硬質な伽羅をこう表現するようだ・香りが交互に来て甘味と辛味が特徴、華やかに加えて奥行きに筋の通った味わい、妖艶でなく枯れており、味わい深い。
黒油系 (黒油伽羅)
- 紫に比べると甘さが強く・もったりとしているイメージがある。
- 個人的には色が真黒であっても、蜜の甘さ(蜜香)や黒糖のような甘さを感じなければ、紫とみなしている。
- 黒油伽羅の感想 個体① 墨のような黒さに油分を感じる艶やかな表面、出香すれば熱烈で濃い香りがゆったりと力強く広がる、蜜の甘さを基本として辛味・苦味が入り混じる、それでいて円熟していてあまりにもすばらしい。
- 黒油伽羅の感想 個体② 柔らかさを感じる表面だが木質は硬い、出香すれば強烈な伽羅立に驚き、一瞬、、強さで目の前が真っ白になる。
- 濃厚な甘味と鹹味の香りに透明感を伴いながら、奥にくすぐるキレの苦のくすぐる香りは安定して華やかさと円熟感と奥行きを感じながら長く続く。
- 黒油伽羅の系統
- 外国で緑油伽羅の上位と言われているだけのことはあります。
- 見た目は薄黒く、香りは緑油伽羅をろ過して更に上品にしたようなイメージ。
- その他の濃い色の伽羅
- 紫白伽羅 香道の一部流派で好んで使われる。
- 紫緑伽羅 梅が香と独特の酸味を持つ独特の木、強烈な支持者がいるという。
- 紫黒熟結伽羅 苦みが特徴、相当な曲者だが、熱烈に一部で支持される。
- 虎班結紫油 激辛でも・・・・香りは奇跡
- 赤油
- 中華圏における区別では紅糖熟結といわれる伽羅の仲間であり、土から採集された木で砂糖の焦げる香り、黒糖の甘味を生じる伽羅の仲間で国内では粉や刻みに混入されがちとされる。
- その他にも低価格や表皮を剥がしていない木は、色では分類できない場合が多く分類できない伽羅も豊富に存在します。
それらは色で分類できないからと言って香りが劣るというものではありません。
選ぶ際に色を意識して選択することは参考になりますが、それらのみ判断するのは良い事とは言えません。香木の香りはそれぞれ異なる物です。
- こちらは当時ヤフーブログに書いたオリジナルの記事です。
- 改訂版 伽羅の色の分類 緑油伽羅 黄油伽羅 黒油伽羅 紫油伽羅 香木伽羅の種類
- https://seonyan.com/kouboku/2893879/ 当時のオリジナル記事
色ごとの香味の印象
まとめ・全般的な印象 個人的なイメージ
- 緑油伽羅 五味完備・香りが強烈でアルコールのような独特触り・辛味弱め・個人的には苦手
- 黄油伽羅 辛味が強い・印象に残る・きらびやかな印象
- 青油伽羅 豊で艶やかな印象・黄油のように強烈でなく柔らかく強い
- 紫油伽羅 苦味が強い・蘭や花香の甘みが好み・やや辛味が入ると爽快感が良い
- 黒油伽羅 蜂蜜の甘さなど独特の蜜系の甘さが特徴
伽羅の木質による種類
- 伽羅・奇楠香の種類には色合いによる区別以外にも様々な見分け方が存在する。
- 上記では色を重視したが、ここからは(木)そのもの性質を鑑賞している。
- 緑油伽羅の熟結や緑油伽羅の熟結など、無理やり分別すれば相当な種類になるだろう。
伽羅の採集状態を表す言葉
- 生結・生木 生きている木から取り出した状態。
- 熟結・死沈 枯れた木から採取したり、土中より採集された状態。
状態による分類
縮油伽羅
- 緑油系統の木が土中埋没して硬化した物、香りは透明感が強く余韻が深く香りはしなやか。
- 軟度の柔らかい木よりも独特の濁りが無く透明な印象を受ける。
鉄油伽羅
- 紫油~黒油系統の木が熟成して硬化した物・その見た目が独特であり硬く削ると粉になるが、香りの強さは最強、香気の強烈さは半端ではなく頂香は難しいが個人的には好み。
鉄伽羅
- 熟成が進んで硬化したもの全般を表すと考えられる。
- 熟度が高すぎて香気も弱くなるなどした場合においては木所が変わってしまうだろう。

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木質とやわらかさ(軟度)
伽羅は基本的に木質が柔らかく、樹脂が柔らかい。
- 柔らかい木は樹齢を重ねていくと硬くなっていくと言われる。
- 生木から取り出した木は生結や生木等という場合があり、特に柔らかい。
- 熟結などは熟度が高い為、木質は硬いが伽羅である以上は沈香よりは柔らかい。
軟度と香りの関係
私は柔らかすぎる伽羅は苦手である、香りが強すぎることにより聞香中に臭覚を麻痺させる場合があること、保管においてその性質から、小片にすると明らかに香りが薄くなってしまうこと、等から避けている。
- 個人的なイメージでは軟度の柔らかい物は、常温での香りは特に強く、銀葉にのせても強烈。やや硬めの伽羅は常温での香りは前者と比較すればそこまで強くはない、しかし銀葉にのせれば、個体次第ではある。強烈な強さを感じる場合もある。
- 緑油伽羅を始めとした柔らかいタイプは上記の特徴から、切断時や皮を取った際には表面が黒くとも表面の油分が揮発することで白く輝く、この状態を白皮などと表現する場合があるようだ。
これらは個人の勝手なイメージであり、香木の香りは1つ1つは異なるため、一概には言えないことが面白い。
沈香と伽羅の違い・伽羅の品質区別に関する記事はこちら
聞香日記・伽羅
コレクションの観察 香味の観察

写真解説 1伽羅の色合い 2木質と軟度 3香り 4そのほか情報 銘や流派や購入店は(松栄堂山田松など)
- 1 黒油伽羅 やや硬いが柔らかめ・強烈な香りであまりにも素晴らしい・志野流の御家元銘有・ヤフオクにて1g20万円以上の値段が一時期ついていた伽羅
- 2 色不明(黄色系)・木質は沈香に近く固め・アニカシ少々・御家流の御家元銘有
- 3 黄油・柔らかい・辛味と甘味が素晴らしい
- 4 青油・柔らかい・酸味と甘みが独特・御家流の御家元銘有
- 5 不明(白皮)・なめらか硬い・甘味と酸味が独特
- 6 黒油・なめらか・甘みの深さと香りの広がりが良い
- 7 紫油系?・硬いが滑らか・甘みと苦味が独特
(今後どんどん追加予定)
お勧め書籍 伽羅の原木が色ごとに掲載されている図鑑

2020年6-28日&9-25 香木に関しての画像やきほん知識およびカタログに徹しており、香味などの言及はあまりなされていない、香人や香舗などの違いや香木の木所や香味に関する論争に配慮してあるように思われるが、この図鑑が発売された影響は香業界に極めて大きいようであり、この書籍が今後の沈水香木の基準となるだろう。個人的には素晴らしいと思う。この図鑑が出てきたおかげでこの記事におけるリライト版においては精度が上昇しました。このブログは愛好家による個人主観のブログであるため香味などについても言及しております。

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追記・2021年1月26日 ご訪問ありがとうございます。参考用の写真を三枚追加いたしました。
内容の修正とお詫び・伽羅の軟度について高低を逆に書いてしまうとんでもないミスをしてしまい20年の10月に発見し修正しましたが、11月中旬にこのサイトがダウンした際にデータ復旧した際に記述ミスまで復活しており、この日に再度発見し修正いたしました。
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