鳳凰単叢鴨屎香(おうしこう)のページ、盗難防止のためにその衝撃的な名称がついたとされる、漢字による表記において(屎)でなく同じ意味である(糞)を利用して鴨糞香という表記もあるのだが、この排泄物を連想する名称を改める動きがあり銀花香(ぎんかこう)という表記が始まっている。
鴨屎香単叢
名前の由来
詳しい解説・烏崠山には様々な村があり、そのひとつ烏岽村から南西に約1Km離れた、坪坑头村のある茶農家が紹介された茶を黄色い土壌(鴨屎土)の茶園に植えた、成長後になってみると、その葉は漢方薬のひとつ鴨屎樹(中国固有種のシソ科の灌木)似ていた。村人からその木について聞かれると所有者は(枝を折ってクローンを増やされること)すなわち盗難されるのでないか?ということからあやふやに答えた、しかし、結局は村人により枝を折られ増やされてしまった。そして、この新品種を広める為には覚えやすい名称が良いということもあり、村人により物語が広められた。上記のふたつの鴨屎に関連する話題と盗難防止という話題が積み重なり、さらにその物語自体が話題となったこと、優れた品種味から鴨屎香は香型に属さないタイプの鳳凰単叢としてはメジャーな物となった。
この単叢は、その名称と魅惑的な香気を持つ鳳凰単叢烏龍茶であり、特に日本人に人気のある品種であると中国広東省にて単叢茶を扱う問屋めぐりをしている際に数件から話を聞いた、読み方は日本語読みの(かもくそこう)音読みの(おうしこう)ではなく、茶を飲みながら、会話する際に排泄物を連想する(くそ・し)という言葉を避けるために普段は中国語に近い(ヤーシーシャン・YashiXiang)と発音している。鴨屎香単叢は香型に属しない独立型の単叢烏龍茶であることから、この個別ページを作成した。
2019年 鴨屎香
こちらの鴨糞香は深圳の鳳凰単叢専門問屋から購入した、購入したのは2019年5月4日であり、茶商の話しでは、製茶が完了したのは4月20日で、前日に到着したらしい、話しによると、こちらの茶は例年では、一週間程度で売り切るとのこと、私が日本人と分かったら、真っ先に鴨屎香を薦められた、5月初旬は香港から日本向けバイヤーや日本人たちがやってくるらしい、先着順である為、これはコスパが良いからと全量買い取りを薦められた。
価格は500g400RMB スペックは標高400~600mらしい、この茶を売れば日本人(向こうの言葉でりぃべんれん)に間違いなし!私はこの価格帯の茶を求めておらず、さらに上級品を要求したが、試飲時から分かりやすい香りが気に入り、500gだけ購入、帰国後は友人たちに配りまくって割と好評であった。
茶葉3g 洗茶二回 洗茶をしながらでも、軽く香料を使い着香されている為、花の香りが広がる、茶杯からのアロマは蘭やスイカズラを連想する爽やかな花の香り少し冷めるとミルクのような奶香。口に含むと柔らかい香味はメロンやスイカを連想、後味は全くない。
感想 (当時のレート1元18円換算)15gあたり270円と当時の感覚ならば激安であり、焙煎していない早飲みタイプの春茶、合成香料を使い着香されており、華やかな花の香りと口に含んだ際の弾けるような花の香りが特徴、私の父親や友人たちから絶賛されるこの茶は、中国の都市部と日本で流通する鳳凰単叢には着香が多いことから、間違いなく世間受けするタイプであろう。
あの茶商が言う通りに販売すれば、それなりの人気が出るだろう。購入から3年が経過したが一応飲める。はじけるような花の香りと(奶香と芝蘭花香)が顔面に後味として張り付きわかりやすいのが特徴。
余韻に関して理解がある人やマニア以外に飲ませ、着香に気が付かなければ、日本人の7割くらいは単株や老叢よりこちらが良いと評価されるだろう。夕食後のティータイム、中国茶に詳しくない私の父親に、こちらの標高400mと下の項目の1000m単株を比べてどっちが美味しい?と尋ねたら、もちろん!この着香品は香りが強くて味が濃いそうだ。私からすればこちらは余韻ゼロ、味がペラペラで単株こそ、味が濃く最高だという感想、このような高級品を大したことない思い、低級品を良いと思うという、余韻を無視した個人の感想の違いは中国茶の世界において高低の価格差10倍以上でも良くあることなのだ。なお下記の単株を黙って数回ほど出して、こちらを再度だしたら(味が薄くて美味しくない)と感想が変化していた。香料を使い着香された鳳凰単叢茶や岩茶の石乳を飲むと味覚や臭覚に知らぬ間に麻痺して知らぬ間に累積ダメージが加わり、本物の高級品が全く分からなくなるのだ。着香品を良いと覚えたら、本物の味は基本的に分からなくなる、そういう品に限って初心者に売れるのが、特徴でもあり商社は勧めてくるのだが、私は健康問題を考え絶対に扱いたくない。
銀花香単叢
名前の由来・鴨屎香から改名?
鴨屎香単叢は坪坑头村(坪坑頭村)から素晴らしい香気を無視して排泄物を連想する名称として広まった。鴨屎香の香りは自然体なスイカズラ(生薬名・金銀花または銀花)のような花香であることがわかり、2014年頃に銀花香と改名されたようだ。すなわちスイカズラの花を連想する香りの単叢茶という意味。
銀花香老欉単株2020 HOJO
坪坑头産で標高1000m・樹齢180年さらに全くブレンドしていない単株という高級品・茶葉は2g (単株の余韻をさらに楽しむ為に茶葉は少なめ)洗茶二回、鴨屎香らしいミルクのような香りとスイカズラに加え姜の花を連想する花の香りが広がる。茶杯からの香りはパッションフルーツやライチなどフルーツの香りが優勢、洋梨や僅かにクチナシなどの花の香り、奶香とも言われる乳香の香りも感じる。
口に含むと引き締め感と柔らかさを感じつつ密度も感じる独特の舌触り、香味は一言で言えばキレイな鴨屎香、ライチや洋梨などフルーツの香味、そして抹茶のような味も感じられる。後味ではスパイシーな花の香り(姜花香の香りに近い)に加え、ミネラルの味こと(自然な旨味)が舌に優しく残り後味の良さは単叢のなかでも秀でている。(コク)余韻の強さも最強クラス、上半身にコクがどんどん伸びるつつ広がり、のし掛かるような強烈さでなく、強いのにゆっくりと伸びて行く優しい余韻のタイプだ。
感想 鴨屎香らしいミルクを連想する奶香味に加え、アロマ(香)はスパイシーで先鋭なスイカズラの花香、香味(フレーバー)では新鮮なフルーツと抹茶、舌での味と後味に山菜を連想する自然な旨味、余韻は優しくそして強く上半身に回る、強いコクが特に好み、味と香りも良く、単株茶らしいコクが素晴らしい。香も味も紛れもなく鴨屎香だが、その辺の鴨屎香とは品質差が凄まじい、透明感が強すぎてギラギラした雰囲気があり複雑な花の香り、名称は鴨屎香でなく銀花香が適正であろう。
コストパフォーマンス評価 鴨糞香単叢発祥の坪坑头産、単株の鳳凰単叢、1000m以上、樹齢180年という完璧なスペックをもちながら、控えめな値段に加えて余韻の強さ、2gで850mlを飲めたこと、単株茶でありながらかなり控え目な価格・コスパがとても高い。さらには愛好家的に茶樹の画像を拝見できることはありがたい、それらから考えてもとても素晴らしい体験だった。
鴨屎香老欉 2024 茶の穂
坪坑头産の鴨尿香老欉茶、2024年の鳳凰単欉シーズンは雨がやや降ったという点から、樹齢が高い物が格下げされる例が多発した年であったという、そのため樹齢の高い老欉でも値段が安いという製品が散見されるとの情報から、試験的に全く初めての生産者、高級評茶師の組合経由にて生産者兼販売者の製品を鳳凰鎮から普段と異なるルートで入手した物。
記録、アロマは最初にミルクや乳香を連想する香気が上がりクチナシの花や蓮の花を連想する爽やかな花香、次に銀花香らしいフルーティーな香りが広がる、口当たりは高山鳳凰単欉らしく、まろやかであり、香味ではアロマと同様の複雑な花香とフルーツ香が長く残り、銀花香型の香りにふさわしく煎が進むとスイカズラを連想する爽快な品種香がグイグイと出る。
ヴィンテージ要因により、樹齢の割には香気や味わいがやや弱いが、味わいやのど越しにおける厚みが濃厚である点でやや弱い面を補うような恰好となっている、2024年の状況を反映しているという点において入荷してよかったと思っている。火入れはかなり浅い、清香型かつ出来立ての状態であり、新茶感がいい感じではあるが、基本的に香気が強くなる頃、飲み頃は24年11月以降を想定している。さらに別の生産者から銀花香型の老欉茶を1~2種類を仕入れる予定だ。
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追記 内容の補充をしました。2022年11月7日
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