武夷肉桂について
「肉桂」という名前は、その岩茶が持つシナモンのような香りを思い起こさせることから名付けられた。肉桂は、武夷山で栽培される岩茶の代表的な品種であり、清朝の時代まで遡る歴史を持っている。この品種は、栽培が容易であり、茶葉が華やかな香りを放つことが特徴であるため、1980年代には政府の後押しもあり、現在の武夷山風景区内の世界遺産登録地域に多数植樹されるようになった。
肉桂の原産地は、武夷山風景区内の三仰峰または蓮花峰とされており、この地域で生まれた品種である。しかしながら、烏龍茶の品種として、肉桂は他の地域でも生産されることがあり、この場合、武夷肉桂と区別して表記されることがある。
肉桂の香味の特徴は、名前が示すようにシナモンのような香りを持つことである。しかし、製茶の方法によっては、はっきりとした花の香りやフルーティーな香りを引き出すことができる。
同一品種ながら異なる味わい
基本的にスパイシーなシナモンの香味を持っており、馴染みやすく品質の甲乙がわかりやすい品種で。茶樹の栽培環境や製茶により味や雰囲気が大きく変化するため、詳細産地の同一品種の肉桂茶を飲み比べして楽しむのが現在の岩茶の楽しみ方のひとつとなっている。肉桂茶が持つシナモンを連想するこの香りを肉桂香とも言う。
- 焙煎の強い物は肉桂香に炭の風味や焙煎香を持っている。
- 焙煎の弱い物は肉桂香に緑茶などを連想する香味を持っている。
- 正岩茶の肉桂はフルボディでミネラル感が強い
- 馬肉の味・牛肉の味など詳細産地ごとの特徴的な味をつかんで飲むのが人気。
この肉桂茶の品種的な特徴は栽培しやすい、収穫量が多い等の事情により1985年ごろから多く生産されるようになった岩茶であり、世界遺産登録地域で生産されている岩茶の中で老叢水仙と並び岩茶としては多く生産、流通されるため、知名度が高い。慧苑坑周辺の物は慧苑坑肉桂など詳細な生産地域の名称を冠して販売されることが多い。
武夷肉桂のコラム
肉桂という名称から人気が急上昇した
馬頭岩で採集された肉桂茶は、その濃厚な香りと滑らかな味わいから「馬頭岩肉桂」として知られています。しかしその名前が長く、手軽に呼びやすい省略形が生まれたことで、人々は「馬肉」「牛肉」と呼ぶようになったといいます。
その奇妙な呼び名から、一部の人々はまるで動物の肉を飲んでいるかのような主張をし、話題となりました。その結果、馬肉や牛肉という名前が商品価値を高めることになり、牛欄坑産の肉桂茶も同様に「牛肉」と呼ばれるようになったのです。
それでも、茶の名前に動物の肉を例えるという文化が根付いたことで、より細かい産地から採集された茶葉が誕生していき、肉桂茶は中国茶の中でも高額な値段がつく一種として、さらなる知名度を得ることになりました。
産地ごとの肉桂の省略表記の例
竹窠肉桂は猪肉と例える
- 例 天心岩産であれば天心岩肉桂など産地+肉桂と表記する。
- 馬頭岩肉桂(馬肉)猫耳石肉桂(猫肉)牛欄坑肉桂(牛肉)
- 天狗石肉桂(狗肉)青獅岩肉桂(獅肉)三仰峰肉桂(羊肉)
- 天心岩肉桂(心頭肉)九龍窠肉桂(龍肉)虎嚇岩肉桂(虎肉)
- 慧苑坑肉桂の鬼洞付近産またはそのもの(鬼肉)・竹窠肉桂(猪肉)
- 鷹嘴岩肉桂(鷹肉)燕子窠肉桂(燕子肉)鶏公岩肉桂(鶏肉)
- 悟源澗肉桂(猿肉)老鼠洞肉桂(鼠肉)象鼻岩肉桂(像肉)など
- 走馬楼肉桂(小牛肉)
産地の地名の一文字を冠したり、馬頭岩肉桂を馬肉と単純に省略したり、産地の十二干支、動物の肉や伝説上の生物と結び付けた例
→小牛肉こと走馬楼肉桂は牛欄坑肉桂こと牛肉の中火に似た味わいで牛肉に化けたり、同じ価格で取引される為。
→猿肉こと悟源澗肉桂は悟源という語句が孫悟空を連想するためにそう呼ばれるようになったという。
老欉肉桂(老肉)は肉桂の実態を知らない茶商が考え付いた用語に近い、上記のように商業利用における栽培の歴史は1980年頃からと浅く、樹齢は最大で45年程度であり、さらに肉桂は基本的に台地茶に仕立てられる、もちろん老欉茶と同様の灌木型も存在するが、今のところ老欉にはならず、木が細く樹齢も高叢水仙程度となる為、老叢肉桂というカテゴリ自体が基本的に存在していない、樹齢35年超の肉桂には主に老樹/老樹肉桂(老肉)という言葉が使われる。
地名+肉桂で表されることには産地を表す物だが、2018年ごろから中国政府は茶葉に極品や上級などの等級用語と産地名称の併用を禁じた為、本来は地名を表すものだが、実際の産地と関係なくとも、高級品や上級のような意味で使われつつあり、それらに代替えされ適当な地名が冠するようにもなった。
産地の品質の鑑定は中国茶の品質鑑定のなかでもっと容易にわかる内容だが一般的な物では無く、武夷岩茶専門の生産者および茶商と愛好家の一部しか詳しくわからないため、中国茶を扱うプロの半分程度は外山や半岩の安価な肉桂に馬頭岩や牛欄坑などの名称を付けて販売することに抵抗が全くありません。なお馬頭岩肉桂などとして売られていても実際の馬頭岩産かどうか?など詳しい産地の鑑定は武夷岩茶の専門茶商または愛好家さまが生茶葉から生産してかつ絶対に混ぜもが無い製品を何年かまたは数種類を試飲して、ホンモノの味を覚えた方か、中国茶の高級品に共通する味を知っている愛好家にしかわかりません。
上記の画像のように、名産地の名称入りパッケージだけを別途で観光客やネット通販から簡単に調達できる為、これら馬肉や虎肉など名産地の肉桂茶は、入れ物だけ購入して安い肉桂を入れるなどの偽造が非常に簡単にできる製品であり、最初にまがい物を掴んでそれを基準にその茶を覚えると、武夷山人から外国人舌と呼ばれる味のわからない愛好家になってしまう可能性が高く、購入の際には信用のある専門の茶商から購入してください。
購入はこちら
武夷肉桂(中火)5グラム430円7.5グラム600円
坑澗肉桂(馬頭岩肉桂ほか/現代型中火)5グラム850円15グラム2490円
悟源澗肉桂/猿肉(現代型中火/老樹肉桂)5グラム1430円15グラム4370円
悟源澗肉桂/猿肉(伝統型足火/老樹肉桂)5グラム1550円15グラム4370円
猫耳石肉桂/猫肉(現代型中火/老樹肉桂)5グラム2100円15グラム6000円
牛欄坑肉桂/牛肉 5グラム4300円
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この記事は2020.03.03日馬頭岩肉桂の記事にて書いた内容を別ページにしたものです。
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